白内障手術 白内障手術
 

白内障の症状と手術機器について

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白内障手術 日帰り人間の目の中にはカメラに例えるとレンズに当たる水晶体という部分があり、水晶体が濁ってくる病気が白内障です。白内障になると、見にくい、かすみ、ぼやけ、まぶしさなどの症状がでます。白内障の原因としては加齢によるものが最も多いですが、アトピー性皮膚炎などの全身疾患、ステロイドなどの薬物使用、外傷による場合もあります 。

もう少し具体的に説明すると、濁った水晶体を取り除き、代わりとなる人工のレンズに置き換える手術(眼内レンズ挿入術)が行われます。これは、短時間ですみ患者様の負担も少なく済む手術です。

■手術は点眼麻酔で約10分
麻酔は点眼麻酔でおこないます。手術中は医師と会話もできます。痛みはほとんどなく、手術は約10分で終了し、20分ほど休んでからご帰宅いただけます。入院の必要はなく、普段通りの生活をしながら、ご家庭でゆっくり療養していただけます。

医療機器について

白内障手術  医療機器医療機器について
インフィニティ
インフィニティは術中の眼圧コントロールにすぐれた手術装置です。
横振動だけではなく縦振動の超音波パルスを発振することができるため、効率的かつ安全に白内障を破砕することができます。
鋭敏なセンサー技術と、きわめて優れた応答性を持つポンプを搭載することにより、術中サージの発生程度・時間を最小限に抑制します。
また、超音波ハンドピースOzil™との組み合わせにより、優れた核の破砕力を発揮し、安全確保が容易で効率性の高い白内障手術が可能になります。また手術の流れによりカスタマイズできるインターフェースと、人間工学を考慮したデザインにより、装置の使い勝手に対するストレスを感じることなく白内障手術を行うことが可能です。

白内障手術迄の流れ

手術前
手術前に眼を清潔にしておかなければなりません。そのため、抗生物質の点眼薬を処方いたしますので、必ず手術予定の3日前より手術当日まで指示された通りに点眼を行って下さい。点眼は手術を予定している眼のみで結構です。

手術前日
1.入浴、洗髪をしておいて下さい。
2.睡眠は充分に取りましょう。

手術当日
1.朝食、昼食は普段通りお召し上がり下さい。朝食後に、指示通り、抗菌剤を内服して下さい。
2.普段服用している飲み薬は、当日も全て服用して下さい。
3.女性は当日お化粧をしないで下さい。
4.服装は前開きで、袖口がボタンで開閉できるものを着用して下さい。

手術翌日以降
1.点眼薬、内服薬は指示にしたがって下さい。
2.洗顔、洗髪は1週間禁止。(但し上向きでの洗髪は翌日から可能です。)
3.首から下の入浴は手術翌日からかまいません。
4.仕事(軽作業)は内容により違いますので医師の指示を受けて下さい。
5.メガネの処方は原則として屈折の値が落ち着いてから行います。
6.その他、不明な点があれば医師にお尋ね下さい。

白内障と眼内レンズ

単焦点眼内レンズ

一般的に使用されるのは単焦点眼内レンズです。
どの距離にピントをあわせた目にするかを術前検査で眼内レンズの度数を決定します。
通常は「ピントを遠方(無限遠)~中間距離(2~3m)に合わせた」眼内レンズを挿入して、術後に老眼鏡を使っていただく場合が多いですが、左右のバランス、手術前の度数、御本人の御希望、職業上の理由などにより、「ピントを近く(30~40cm)、もしくは中間距離(50cm~1.5m)に合わせた」眼内レンズを挿入する場合もあります。ピントを近くにあわせた場合は「普段は眼鏡をかけ、手元を見るときは外す」ということになります。

多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズは、「なるべくメガネをかけずに」より快適な生活ができることを目指して開発されました。 最近では、様々な多焦点眼内レンズが登場しています。多焦点眼内レンズは、遠方と近方の広範囲にピントが合う反面、単焦点眼内レンズに比べるとピントが甘い、夜間に車の対向車などのライトがにじんで見えたりする(グレアハロー)などの欠点がありましたが、最近ではこれらの欠点を補う累進焦点眼内レンズも登場しています。

アドオンレンズ

アドオンレンズとは白内障の手術で眼内レンズが入っている眼にもう1枚追加で入れるためのレンズです。白内障手術で矯正しきれなかった近視・遠視・乱視の矯正が可能です。また、単焦点眼内レンズで白内障手術を受けられた方で、老眼鏡の使用頻度を減らしたいという場合には、多焦点のAddOnがお勧めです。

この治療は、白内障の手術の後、眼内レンズのピントの位置やレンズの種類が合わず裸眼の見え方に不自由があり困っている方が適応になります。

具体的には
① ピントの位置を変えたい(近くに合わせてしまったが遠くにしたい、またその逆)
②乱視が残っていて裸眼で見えにくい
③ 単焦点の眼内レンズを入れてしまったけれど遠くも近くも裸眼で見たい

白内障手術 合併症について

白内障手術は安全性がきわめて高い手術ですが、手術中に水晶体の後面の膜が破れたり手術後に角膜が腫れるなど、予定外の処置が必要になることがあります。

■破嚢(はのう)

眼内レンズをささえる水晶体の後面の膜が術中に何らかの原因で破れることがあります。その場合は破れた膜の処置をおこなって眼内レンズを入れるため、手術時間が通常よりも少し長くなります。


■チン氏帯断裂(ちんしたい だんれつ)

緑内障水晶体をつっている細い糸(チン氏帯)が切れて水晶体をきちんと支持できなくなる状態です。加齢や眼球打撲により、弱くなっていたり、すでに切れている場合があります。眼内レンズを挿入できないこともありますが、後日別の方法で挿入可能です。

遠くのものを見るとき: 毛様体筋が弛緩してチン氏帯が伸展されて水晶体が薄くなります。
近くのものを見るとき: 毛様体筋が収縮してチン氏帯が弛緩されて水晶体が厚くなります。
このように、チン氏帯は毛様体筋と協力して水晶体の厚さを変える働きをしています。


■感染

手術後1週間から2週間の間に、手術の傷口から入った細菌が目の中で炎症を起こすことがあります(術後眼内炎)。失明にいたる恐れがあるため緊急の処置が必要となります。手術後、見えにくい、かすむ、痛いなどの症状があればすぐにご連絡ください。


■術後炎症

手術後、炎症が強く起こり、眼圧が上がって角膜が腫れ見えにくいことがあります。点眼や点滴などをおこなうと数日で回復します。


■眼内レンズ度数ずれ

挿入した眼内レンズの度数が目標とした屈折度数と合わないことがあります。しばらく経過をみますが、強い度数ずれの場合は再手術をおこなってレンズを交換します。


■グレア、ハロー

強い光源を見たときにまぶしさを感じたり、光の周辺に光の輪がかかって見えることがあります。しばらくすると慣れるため経過観察となります。


■後発白内障と治療方法

<症状>
白内障白内障手術の後に眼内レンズを移植しますが、その後に水晶体嚢の内側にある水晶体上皮細胞という細胞が手術後、数カ月あるいは1年以上たったころ、手術直後に比べて少しかすんで見えるようになってくることがあります。これは、細胞が分裂して形を変えて(線維性化生といいます)レンズの後面に広がり、白内障のような症状が起こるものです。

<治療方法>
治療方法については、入院ではなく外来で行なうことができます。レーザーを使って後嚢を切開しますが、数分で終了し、痛みもありません。翌日にはもとの視力に回復します。治療は、YAGレーザーで、白濁した水晶体嚢の中心を破り、光のとおり道をつくります。多くの場合、一度レーザーを受けると、またよい視力にもどります。

<注意>
視力がひどく下がってしまってから進行した後発白内障と診断されるケースでは、網膜剥離に発展する場合がありますので術後の定期的な検査、診察は大切です。
白内障の手術は簡単に終わる手術ですが、数%の確率で簡単に終わらないケースがあります。
実は水晶体嚢と呼ばれる袋は、無数の細い繊維によって眼球の中に宙づり状態になっていて、この水晶体嚢を支える細い繊維をチン氏帯と呼びますが、加齢や、遺伝、そして外傷などによって、このチン氏帯が切れたり、チン氏帯の数が少なくなっている場合があります。この時はレンズを支える事が出来なくなることがあり、このような場合に別の手術が必要になります。


■前嚢収縮

<症状>
前嚢収縮
は糖尿病や網膜色素変性症、偽落屑症候群、術後の炎症が強い、その他同時手術や若い方などに起こる症状で、数年たってから、レンズの前面、水晶体を包んでいた袋(水晶体嚢)に開けた切開窓の周囲に残った水晶体の細胞が炎症反応によって線維性の細胞に変化、増殖し、巾着絞りのように切開窓を狭くしてしまうことにより起こります。前嚢収縮は術後6ヶ月以内が最も進行しやすいと言われていますが、通常ほとんど視機能に影響しません。しかし、瞳孔の中心部分にかかるほど進行して眼内に光が入りづらくなると、視機能低下の原因となり治療が必要となります。

<治療方法>
後発白内障と同じく、YAGレーザーというレーザー光線を照射して、その衝撃で前嚢収縮を切開します。切開を入れると張力によって小さくなった切開窓が広がり、その後の収縮を抑制してくれます。

<注意>
通常、強い前嚢収縮は数週間~半年程度で生じ、軽度のものでは、その後も長期間をかけてゆっくりと進行するものもあります。標準的には白内障手術後、翌日、1週後、さらに2週後、さらに1ヶ月後、さらに2ヶ月後、さらに4ヶ月後というスケジュールで診察が望ましく、その後も定期的に検診をお勧めしています。
焦点レンズ以外のレンズを使用した場合に収縮が起こって強く偏心してしまうと非球面レンズが逆に視力を低下させてしまう事もありますので診察は継続がとても重要となります。

山田眼科