ドライアイは大体3タイプに分類され「涙の量の異常(涙液分泌減少型ドライアイ)」と「涙の質の異常(蒸発亢進型ドライアイ)」と「涙の安定性の異常(BUT短縮型ドライアイ)」に分類されます。
各種検査をおこなって、3つのどのドライアイのタイプにあわせた点眼治療薬があうのかを選択して治療を行います。
ドライアイとは、「様々な要因による涙液及び角膜上皮の慢性疾患であり,眼不快感や視機能異常を伴う疾患」とされています。つまり、涙が少ない、目が乾くと言うことだけでは無いのです。逆に、乾く感じの無い、異物感(ごろごろする感じ)が主な症状のドライアイもあります。ドライアイにより角膜の表面に傷ができるとごろごろする感じがしたり、見えにくさの原因になっていたりします。
涙液の構造は、9割が水分ですが、そのほかに油、ムチンが含まれていて涙液の表面には油の層があり、体温並みの温度の涙が蒸発しにくい様にしたり、涙の表面張力を強くして目の表面から流れにくくしたりしています。ムチンは昆布などの海藻にも含まれるねばねばした成分のことで、これがつるつるした角膜の表面から涙が滑りにくくなる様にしています。
■人工涙液
涙の補充として防腐剤が入っていない人工涙液をまず点眼します。
表面がただれている目に対して副作用の少ない安全に使える点眼薬です。
■ヒアルロン酸
水分保湿と角膜上皮細胞の修復作用を持っています。人工涙液と併用するとより効果的。
通常は防腐剤入りの点眼をまず処方しますが、重篤な場合や防腐剤アレルギーをお持ちの方には防腐剤無しの使いきりタイプを処方します。
■ムチン分泌促進(ジクアホソルナトリウム、レバミピド)
眼表面のスムーズな球面形成や浸潤化、涙液保持のために、粘液成分であるムチンの分泌を促進する点眼です。長時間のパソコン業務による蒸発型のドライアイに対して有効です。ヒアルロン酸との併用も可能です。
■自己血清
重篤な場合に患者さまご自身の血液を採取し、そこから精製する自己血清を点眼していただく場合もあります。調整に時間を要します。
涙点プラグは目頭の涙点に詰め物をすることで、涙が鼻に抜ける通り道を塞ぎ、涙の貯留量を増やし目の潤いを保たせる治療で2種類のものがあります。
・溶けない素材としてシリコン製
・溶解していく素材としてコラーゲン製
涙点プラグの利点は涙点縫合や涙点凝固と違って外来処置にて簡単に行えること、簡単に抜去が可能であることです。唯一の欠点は素材に対するアレルギー反応、涙道内迷入による感染、違和感、脱落ですが、可溶性コラーゲン製のものは、これらの欠点が少ない画期的な涙点プラグです。
非常に刺激が少ないため、異和感やアレルギー反応を生じにくく、ゲル化アテロコラーゲンが除々に分解されて最終的には自然に鼻腔に排出され、約2~3ヶ月間の効果が期待できます。効果減弱の後には、何度でも繰り返しての再挿入可能です
「目の表面を覆う脂をだす腺が詰まってしまいドライアイを引き起こすMGD(マイボーム腺機能不全)を改善するために、患者さんがご自宅で毎日おこなうと効果が高まる「温罨法」と「眼瞼清拭(リッドハイジーン)」があります。
■眼瞼清拭(リッドハイジーン)
睫毛の根元周辺をやさしくマッサージするように洗浄することで、マイボーム腺の脂の排出を促したり、汚れなどの詰まりを除去する効果があります。特にアイラインに化粧をする方は要注意です。
マイボーム腺の機能が低下するとと、油が分泌管に溜り、白色の固まりを作ります。分泌管の出口にこの固まりが出来ると、「まつ毛のところに何か白いものが出来た」という状態に該当します。
加齢で分泌能力が落ちると、うまく排出できなくなり、固まりやすくなります。また、動物性脂肪の摂取が多くなると、固まりやすいとも言われております。更に、女性のアイメークも原因になることがあるようです。
診療科目の「ドライアイクリニック」のページも併せてご参照下さい。